歯の豆知識コラム一覧へ

歯周病と全身疾患

2016/01/15



歯周ポケットから侵入した病原因子が全身を駆け巡る!

歯ぐきの問題が進行すると、歯垢(プラーク)からのバクテリア(炎症の場で作られる

物質サイトカイン)が歯ぐきの潰瘍部から血管内に流れ込み、血流に乗って全身を駆け巡

るので、体全体の健康状態に影響を及ぼします。このことからも、歯ぐきトラブルの予防は、

お口の健康のみならず、体全体の健康を保つ為にも大切なのです。

脳卒中

歯周病菌が血管に入りアテローム性プラーク(蓄積物)で動脈硬化、

血管が細くなることにより脳卒中が起こりやすくなります。

冠状動脈性心疾患

心臓に血液を供給する冠状動脈で血液の流れが悪くなり、心臓に障害が起こる病気の総称を

「冠状動脈性心疾患」と呼びます。中でも、心筋梗塞や狭心症の虚血性心疾患は、

心臓の冠状動脈にアテローム性プラーク(血管沈着物)が形成され閉塞されていくことで生じる病気です。

血管内に侵入した歯周病原性細菌やその病原因子などが、血流に乗って冠状動脈に達するとアテローム形成が加速化。

その結果、心血管の病気が発症しやすくなります。歯周病に罹患していると、

心血管疾患の発症リスクは1.15~1.24倍高まると言われています。

誤嚥性肺炎

気管に入った唾液中の細菌などが肺に感染して起こる肺炎が「誤嚥性肺炎」

高齢者に多く見られる病気の一つです。特に、要介護の高齢者などは飲み込む力や

咳反射が低下しているため、唾液やプラークなどが気管に入りやすく誤嚥を起こします。

そのように入り込んだ歯周病原性細菌などのお口の中の細菌が肺炎を起こしやすくすると考えられています。

実際、この病気の多くの患者さんから歯周病原性細菌が見つかっているのです。

そのため、高齢者に口腔ケアを行い、歯周病原性細菌等の口内細菌が減少すると

肺炎の発症率が下がることが報告されています。

糖尿病

歯周病菌によっておこるサイトカイン(炎症物質)が多く出ることで、糖の代謝が阻止
されてインスリンの作用も悪くなり、糖尿病が悪化します。
糖尿病の人はそうでない人に比べて約2.6倍歯周病になりやすいと言われています。

骨粗しょう症

骨量が減少して海綿状になり、もろく折れやすくなった状態が「骨粗しょう症」

高齢の女性に多く見られる病気として知られています。まだ充分に解明はされていませんが、

歯周病になった歯肉で産生されるサイトカインには、骨代謝に影響を及ぼすものがあり、

歯の喪失と骨密度の減少には関連があるという研究報告があります。

逆に、骨粗しょう症の人が歯周病に罹患すると、歯周組織の歯槽骨が急速に吸収されることで

症状が進行しやすくなる可能性が知られています。

早産、低体重児出産

歯周病は、歯周病由来サイトカイン(炎症物質)が子宮収縮のプロスタグランディンの
分泌を促進し子宮を収縮させるため、妊娠37週未満の早産及び2.500g以下の低体重児と深い関連があり、

早産の危険性は高齢出産より高いと言われています。

トップページに戻る