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歯周病は薬で治る?
2016/01/25
歯周病は感染症
歯周病は歯周病原細菌によって起こる感染症です。
細菌(バクテリア)による感染症であるならば、その細菌を死滅させれば完治するのでは?
あるいは薬で予防できるのでは?
多くの方が考えられることだと思います。
しかし、答えはNO!
もともと私たちの身体は無菌状態ではありません。常在細菌叢というものがあり
お口の中には500~800種類の細菌が生息しており、お互いにバランスを取りながら共存しています。
どんなに抗菌剤(抗生物質、抗生剤)を服用しても、洗口剤で洗口しても、それらをゼロにすることは不可能です。
歯周ポケットや歯石、歯面、歯根のバイオフィルム、舌などに歯周病菌はひそんでいて、時間の経過とともに、またその数を増やしていきます。
むやみに薬を多用すると耐性菌が出てきたり、菌交代現象というものががおこり
本来ははびこるはずのない弱い菌が異常増殖して症状を起こしたりします。
(たとえばカビの仲間であるカンジダ菌が繁殖して粘膜に炎症をおこしたりします。)
やはりポイントはプラークコントロール
ずばり、歯磨きです。
歯磨きで歯垢をしっかり落とし、細菌が増えにくい環境をキープすることが大切です。
「子どもじゃないんだから、歯磨きを習うなんて恥ずかしい。」などと思わないで何でも聞いてください。
歯科衛生士はプロですので、コツや工夫をお知らせできます。
ご自分の磨き残しがどのくらいあるか、染め出しをしてみることをおすすめします。
必要なときはお薬も併用して
そうは言っても歯ぐきが腫れて膿がたまったり、炎症が拡がりつつある場合は飲み薬や
場合によっては点滴等で炎症を抑える必要があります。また歯周ポケットに直接お薬を入れる場合も
あります。
しかしこれは根本的に治すものではなく、対症療法です。一番大事なのはおうちでのプラークコントロールです。
それが出来た上で、歯石除去(スケーリング)やルートプレーニングを行い、それでも歯周ポケットが改善せず、必要な場合に
歯周外科処置を行います。歯磨きが上手にできていないのに外科処置を行っても、またすぐに症状が悪化してしまいます。
たかが歯磨き、されど歯磨き、です。
上手な歯磨きに洗口剤等をプラスすることで、その効果も上がりますので、うまく併用してください。