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『むせる』〜危険回避に重要な動作〜
2019/09/29
〜 大切な「むせる」という動作〜
「むせる」ということは体を肺炎から守る大切な機能です。
喉頭の入り口、声帯ヒダ周辺に食塊の一部、水分の一部が触れると脳へ「息苦しい」という信号を送ります。
脳はその信号を危険な信号であると認識し、咳をするための筋群に指令をだし、一気に咳込みます。
この一連の流れが一般的に「むせる」という言葉で説明されていますが、
正確には前半が、「むせる」という現象です。
したがって「むせて咳き込む」が正しい表現なのかもしれません。
口腔から運ばれてくるものには、口腔外や口腔内の雑菌が多く含まれている可能性があり、
これが肺炎の大きなリスクとなるのです。
むせないためには、食塊は喉頭の入り口を避け、無事に全てが食道に入らなければなりません。
気道と食道の分かれ道を上からみると喉頭蓋が上方に立っています。
この喉頭蓋と舌根の間には喉頭蓋谷という食塊の一部が留まる場所があります。
この喉頭蓋谷まで食塊が流れると大きな壁である喉頭蓋に突き当たります。
そして左右に食塊は分かれ、喉頭の入り口を避けながら側道を下がっていきます。
そしてまたそこに食塊の溜まる梨状陥凹という粘膜の凹んだ場所があります。
わたしたちは咀嚼をしながら一部の咀嚼が終了した食魂の一部をここに流しています。
そして梨状陥凹が溢れそうになると嚥下反射が起こり溜まった食塊を食道へ流し込みます。
これは普段何気なく意識しないで食事をしているときの嚥下のプロセスで自由嚥下といいます。
〜むせないことの恐怖〜
高齢者で筋力の衰え、脳梗塞の後遺症、認知症などにより
「むせない」「咳こめない」ことの重大性が指摘されています。
このような方は嚥下機能そのものも衰えています。
また、上下の食道括約筋も緩んでいる可能性も考えられます。
通常の肺炎と異なり、発熱や咳をあまり伴わないことから発見が遅れがちです。
このような状態が疑われた場合、食事のときだけ注意するのではなく、
食事以外の時間に、口腔内細菌を含んだ唾液、胃液などが肺に入ることも考えられますので、
きちんとした診療を受ける必要があります。